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頬っぺたがとろける絶品チョコレートやワッフル、そしてあの愛らしいマヌカン・ピス(小便小僧)で有名なベルギーは、古くから欧州の交通の要衝にして“文化の交差点”であり続けてきた国だ。
大阪府出身のピアニスト・大澤美穂は、桐朋学園大学に学びベルギーへ留学(ブリュッセル王立音楽院)。当地で研鑽を重ねつつ欧州を中心に演奏活動を行い、01年に東京で国内デビューを飾っている。その彼女にとって、今年はデビュー20周年の節目。モーツァルトの「ピアノソナタ・第10番」、シューマンの「森の情景」、リストの「愛の夢」や「ラ・カンパネラ」、そしてショパンの「ピアノソナタ第3番」という、まさに“文化の交差点”たる多彩なプログラムで、自らのアニヴァーサリー・イヤーを華やかに彩る。
国内外のコンクールでの数々の実績をはじめ、シューマンとショパンの作品による意欲的なCDをリリースするなど、各方面で好評を博してきた大澤。その最大の美質は、何と言っても格調高く気品に溢れた音楽表現にある。彼女の指先から紡がれる音たちは、滋味深くも凛とした輝きを放ち、空間をきっとエレガントに染め上げてゆくに違いない。デビュー20年という道のりを経てさらに美しく煌めかんとするそのピアニズムに、心から浸ってみたい。
10月24日(日)14時、宝塚ベガ・ホール。3500円(当日券4000円)。問合せは、株式会社グローディアTEL090-5496-3311