先週末は、12月3日のリサイタルに持ち込む予定のベヒシュタインのピアノを弾きに、ユーロピアノ株式会社の八王子センターに行ってきました。久しぶりに見るフルコンサート(コンサート用の一番大きなピアノ)は、やはり大きいですね!プログラムを弾き進めていくうちに、ピアノの方も心を開いてくれたのかよく鳴り出して、ベヒシュタイン独特の深みのある温かい音色を堪能できました。
今回のように、本番で使うピアノを前もって弾けるのは、とても有難いです。普通、会場に設置のピアノを使う場合は、ホールが使用出来る13時頃から調律を始め、15時頃からリハーサルを開始します。食事を挟みつつ18時半前には弾くのを終えなければならないので、初めて弾くピアノを約3時間しか触れないのですね。それだと、ピアノの反応を見ながら一通りプログラムを弾き、どうしても気になるところを調律師の方に調整してもらうのが精いっぱいです。
けれども、この間は当日調律してくださる斎藤さんにずっと立ち会っていただけたので、音の好みや気になることを話し合いながら調律・調整してもらい、私が弾いて確認する・・・というのを繰り返すことが出来ました。音色というのは、ほんの僅かに調律で手を入れるだけで、ずいぶん変わるものですね!斎藤さん曰く、ポリーニやシフといった世界的ピアニストは、何週間もかけて好みに合う音色やタッチに調整されたピアノを会場に持ち込み、演奏するのだとか。このような演奏家と調律師とのやり取りの積み重ねによって、その演奏家特有の「音」が作られるのでしょうね。
先日は、八王子センターの技術者の方にも私の要望を伝え、当日の搬出までの調律・調整をお願いしてきました。会場にはどのような状態でピアノが運ばれ、斎藤さんによって調律していただけるのか楽しみです。帰り際はピアノにも、「当日よろしくね」としっかりご挨拶し、センターを後にしました。
今回、改めてベヒシュタインのフルコンサートを弾いてみて、やはり素晴らしいピアノだと思いました!多くの方にこの音色を聴いていただきたいと思っておりますので、お時間がおありの方は、是非会場に足を運んでくださいね。皆様のご来場を心よりお待ちしております!!