先日、ある公共ホールの関係の方から、ホールにあるスタインウェイのピアノがほとんど使われていないので、品質保持のために弾きに来てほしいと言われて行ってきました。そこは1000席もある素晴らしい音響のホールなのですが、足の便が良くないこともあり、なかなかクラシックのコンサートが開かれないのだとか。こんなにいい環境が整っているのに何とも勿体無いことだと思いました。
ホールに到着後、まずは、今準備中のリサイタルのプログラムを一通り弾いてみました。こういう大きなホールの場合、普通の部屋で弾くのとはまるで聴こえ方が違うので、本当にいい勉強になります。ステージ上では自分の弾いた音が大きく聞こえてこないことが多くて、つい力みがちなのですが、客席では意外によく響いていたりするものですから・・。
最近、様々なメーカーのピアノを弾く機会があるのですが、今回スタインウェイを弾いてみて、改めてその個性を強く感じました。よく言われるのが、スタインウェイは鉄骨のフレームの金属音を利用して華やかな音色と大きな音量を生み出すということですが、今までさほど気にならなかった金属音というものも、よく聞こえてきました。同じ三大名器の一つであるベヒシュタインなどは、フレームの金属音を出来る限り排除して、純粋に木の音だけを鳴らすという発想に基づいて作られていますが、その音に慣れると、スタインウェイの音色はとても個性的に感じます。
その感覚で弾き続けていると、スタインウェイに合う曲と、他のメーカーに、よりフィットする曲があることにも意識が向きます。普段、リサイタルでは大抵スタインウェイのピアノを弾いているのですが、いつか違うメーカーのピアノでも、その音色に合うプログラムを組んでリサイタルをしてみたいという気持ちも湧いてきます。
いずれにしましても、今年のリサイタル(関西公演は、もう来週です!)はスタインウェイでの演奏を予定していますので、この度改めて感じたスタインウェイの個性を、今は最大限に生かした演奏したいという気持ちを高めています!