初めてのCDには、シューマンの作品を録音しましたが、2作目は、ドビュッシーかショパンを、と以前から思っていました。そして、今の気分は断然ショパン♪ということで、今回はすんなりと、ショパンを録音することに決めました。
ピアノといえば、やっぱりショパン!多くの人に愛されているショパンですが、私にとってのショパンとは、どのような作曲家なのだろうと、今回、ゆっくり考えてみました。
ショパンは私にとって、どこまでも、「憧れ」の存在です。シューマンは、自分自身をありのままに出して演奏できる、なぜか昔からとても身近に感じる作曲家なのですが、ショパンは、遠く高いところにいて、いつまでも追い求めていたいような作曲家です。
小さい頃から、ピアニストになりたい!と思っていたわけではないのですが、思えばピアノを練習していく中で、「小犬のワルツ」が弾けるようになって喜び、「ノクターン第2番」の美しさに心打たれ、そして、いつか「幻想即興曲」が弾けるようになりたい、次は「革命」、次は「バラード」、次は「ソナタ」・・・というように、どんどんショパンの作品に引き付けられてきたような気がします。そして、一昨年のリサイタルでは、憧れの「英雄ポロネーズ」を演奏し、次は・・・と、実はまだまだ進行形です(笑)。
今まで何度もリサイタルなどで演奏してきたショパン、おそらく、一番沢山取り上げてきた作曲家なのに、どうして「身近」ではなく、「憧れ」なのでしょう。
それは、おそらく、ショパン自身が完璧に近い人だったからではないかと、最近思うようになりました。もちろん、ショパンも人間ですから、癖があったり、繊細な性格ゆえの気難しさなどもあったとは思います。ただ、生い立ちなどを見てみると、愛情に溢れ、全面的に理解し、支えてくれる両親のもとで育ち、幼いころから多くの知識人に囲まれ、理解ある教師にも恵まれ、信頼できる友人達ともいい関係を築き・・・と、大作曲家の中では珍しいくらいに、理想的な環境の中で(ポーランド内の動乱は別として)成人した人のように思います。
それで、人としては、少し面白味に欠けたりするのかと言えば、そうでもないようで、ユーモアに富み、役者のようなことをさせれば絶品で、道化役となり多くの人を笑わせたとのことです。7歳の頃に書いた手紙などを見ても、驚くほど繊細で美しい字ですし、絵を描いても素晴らしいのです!
音楽面では、様々な楽器を手掛けることなく、ほぼピアノのみの作曲に専念し、シューマンのように曲に標題を付け、言葉と音楽を融合させて・・・ということも嫌い、音楽そのものでの表現を追求する・・・、そういったストイックな姿も独特です。
人間的にも音楽的にも、あまり隙がなく、非の打ち所がない、といった面がショパンにはあり、それが、身近には感じられない、でも、素晴らしい存在として少しでも近づきたい・・・!という気持ちにさせられるのではないかと感じています。
そんな、私にとっての憧れのショパン。CDのレコーディングは10月の予定なのですが、それまで、少しでもショパンの美しい世界を私なりに表現できるようになり、私自身も高められるよう、日々励んでいきたいと思っています。