先日、汐留ベヒシュタイン・サロンのホールでソロ動画用の収録をしました。その時の写真がこちらです!9月の室内楽のオンラインコンサートの後で、「ソロも聴きたい」とのお声を沢山いただきましたので、皆様に気軽に楽しんでいただけそうな曲目を選びました。フルコンサートサイズのピアノの周辺には、カメラ4台とマイク4本が設置され、独特の緊張感の中で、何とか全12曲を撮り終えることが出来ました。
ホールは5時間半の枠で予約していたのですが、ピアノの調律、収録の準備と撤収の時間を除くと、録音時間は正味2時間半でした。もう少し時間があると思っていたのですが、これだけの配線や設置をお一人でしていただいたのですから、時間はかかりますよね。収録には余裕ある時間設定が必要、ということがよく分かりました。
収録を始めてみると、こちらも、今までに経験したことのない難しさを感じました。まず、今回は動画なので曲中の編集はできない、ということで、1曲まるまるを弾きとおす必要がありました。CDの場合は後で繋げることが出来るので、ミスをしても気にせず、少しでもいい音楽を作り出そうという気持ちで演奏します。また、リサイタル等、ライヴの場合は、ミスは仕方ないとして、曲の世界を思いっきり表現してお客様に伝えたいという気持ちで臨みます。
しかし今回は、YouTubeで皆様に繰り返しお聴きいただく可能性も含めて、あまり目立つミスのない演奏を残したい、という気持ちがありました。ですので、演奏の途中でミスのために中断したことも、しばしば。5分の曲で、4分以上はうまくいっていたのに目立つミスをしてしまった時などは、残念過ぎてピアノの蓋に突っ伏したまま、しばらく動けませんでした(笑)。
そういうことを経験すると、曲の最後にいくにつれて、だんだんプレッシャーがかかってくるのですね。あとちょっと!をどういう気持ちで弾きとおすか・・・、これは、集中力を持続するための非常にいい訓練になりました(笑)。その日は時間が限られていたので、2時間半、ほぼ弾きっぱなしでした。少しでも時間のあるうちはベストを尽くしたい・・・!と頑張りましたので、今の私に出来る演奏は残せたような気がしています。
今は、沢山ある録画の中から、どれがいいかを選んでいる最中です。CD作りの時にも思いましたが、やはり演奏には「波」というのがありますね。いい「波」が来ている時には、どの曲でも流れや表現が自然な感じに聴こえます。逆に、何を弾いてもパッとしない時間帯もあり、おそらくそれは、2時間のリサイタルでも同じなのでしょうね。そういう目には見えないけれど、出来の良し悪しに影響するものって、本当に不思議で面白いです。
今回は、せっかく皆様にご視聴いただくのに、少しでも納得のいくものにしたいと思っておりますので、公開まで、今しばらくお待ちくださいね。収録曲目は、以下の通りです♪
モーツァルト:ピアノソナタ第16番 ハ長調 KV.545 第1楽章
モーツァルト:きらきら星変奏曲 KV.265 第12変奏
ショパン:小犬のワルツ
ショパン:ノクターン 第8番 op.27-2
シューマン;トロイメライ (「子どもの情景」より)
シューマン:予言の鳥 (「森の情景」より)
リスト:愛の夢
ドビュッシー:アラベスク 第1番
ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女 (「前奏曲集 第1巻」より)
ドビュッシー:金色の魚 (「映像 第2集」より)
エルメンライヒ:紡ぎ歌
ブルグミュラー:貴婦人の乗馬