すっかり秋も深まり、紅葉の美しい季節になりましたが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。私の方は、CDのための編集作業をしたり、曲目解説を書いたり、また、3月のリサイタルの準備をしたりと、毎日慌ただしく過ごしております。
さて、10月に録音した音源から、今は編集作業を行っているわけですが、この「編集作業」というのは、一人で静かに音に集中しなくてはなりませんので、ピアノの練習とは違って、家に子ども達がいる間は無理です。なので、作業が出来るのは、平日の子供達が学校に行っている間だけ。下の子はまだ1年生ですので、1時台に帰ってくることもあり、遅くとも3時前には帰ってくるので、朝からそれまでが勝負です!
まずは、レコーディングで大量に録った音源を、1曲ずつCDにして送っていただいたのですが、少ないもので4回、多いもので8回ほど弾いている曲があります。いくら自分の演奏でも、同じ曲を8回も聴き続けるのは、忍耐が必要です(笑)。それをじっくり聴き込むわけですが、そうすると、演奏は毎回変わる、というのはもちろんのこと、時間とともにピアノの鳴り方が変わり、調律によっても、その日の気候によっても響きは変わる、というのがよく分かります。そうした微妙な変化によって、弾きやすさが変わり、気持ちの乗り方も変わってくるのですね。毎回、ベストを尽くして弾きましたが、「気が乗った」時の演奏は特別なものがあり、やはり今回のテイク選びは、この、「気が乗っているか」というところが大きなポイントになりました。
それでは、一番ピアノの鳴りの良い時間帯にいい演奏が出来るのかというと、そう単純なものでもないらしく、今回、それぞれの曲で選んだテイク番号を見てみると、わりと日にちや時間帯にばらつきがあり、同じ時間帯の中でも、私の気持ちやコンディションには波がある、ということも分かりました。
このようにして、基本のテイクを選んだ後は、ミスのある箇所を修正するわけですが、そこから先はもう、「判断」の連続です。まず、そのミスは修正するべきなのか、修正するなら何番のテイクのどこからどこまでを使うのかを、リモコンを握りしめ、早送りと巻き戻しを繰り返して、全てのテイクを聴きながら考えます。ものすごく細かい部分まで何度も聴き、考え続けるので、娘が帰ってくる頃にはへとへとになります(笑)。
こうして全ての編集箇所を決め、まとめたものを担当の方にお送りしたところ、その数日後には「第1編集」のCDが送られてきました。このCDをジャケットデザイナーの方にも聴いていただいて、一昨日、ラフ案が送られてきたところなのですが、う~ん、なかなかいい感じ♪こうして目に見えるものを手にすると、いよいよ出来てきたなあと、静かに感動が拡がります。
「第1編集」のCDをざっと聴いた感じでは、いい流れになっていたので、あと少しチェックすれば・・・と、今週は気軽に楽譜を手にし、スピーカーの前に腰かけたのですが、ん?もう少し落ち着いたテンポのものの方がいいかな?などと思い始め、またまた全てのテイクを聴き込むところに戻り・・・(笑)。今度はもっと細部を聴き分けるために神経を集中させるので、ますますへとへとになるのですが、いいものを作るために、もう少し頑張りたいと思っています!