先日、あるTVの2時間ドラマ(サスペンス系)の関係の方から、ドラマに登場するピアニストの演奏の吹き替えと手の撮影、役を演じる女優への演技指導の依頼がありました。劇中のピアニストは、十数年前に事故で右手が動かなくなり、それ以来左手の演奏で活躍しているという設定。このお話をいただいた一週間後には監督の前で演奏し、その一週間後(ナント家の引越の翌日!)には撮影ということで、急なお話に迷いましたが、折角の面白い機会なのでお受けすることにしました。
曲は、スクリャービン:左手の為の前奏曲op.9よりノクターンと、ライネッケ:左手の為のピアノソナタop.179。左手の為の曲と言っても、一見、ふつうの両手の為の楽譜みたいです。実際に左手で弾いてみると、メロディと伴奏を鍵盤の端から端まで使って弾くことになるので、すごい運動量にビックリ。それにも増して感心したのは、スクリャービンの曲の美しさです!左手一本用に、これだけ素晴らしい曲を作るのですから、スクリャービンはやはり凄い作曲家ですね。
明日は、監督の前で演奏し、画的に効果的な部分が抜粋されます。そこを集中的に練習して、一週間後の撮影本番に備える予定。何でも、場面が演奏会のため、撮影はエキストラ100人を呼んでホールで行われるのだとか。しかも、クライマックスのシーンなので俳優の方々が勢揃いするそうです。準備期間が短い割に、何もかも初めてのことばかりなので緊張しますが、新しい世界が覗けると思うと、興味津々でもあります!