最近、サロンコンサートで弾かせていただく中で、ヨーロッパのサロン文化というものに興味を持つようになったのですが、19世紀のサロンコンサートの雰囲気を知るにはヴィスコンティ監督の「イノセント」を見るべし!と書いてあるのを本で読み、早速観てみることにしました。
調べてみると、「イノセント」はレンタルショップには無く、DVDの単品販売も無しで、同監督作の「熊座の淡き星影」、「ルートヴィヒ」が入った3本セットを今回は思いきって購入することになりました。入手後、早速3本を立て続けに観ましたが、今まで「ベニスに死す」などで感じていたヴィスコンティ独特の映像美、貴族社会の絢爛豪華な世界や、そこに流れる退廃的な気分を堪能し、他の作品ももっと観てみたいと思いました!また、どの作品にもクラシック音楽が効果的に使われていましたが、映像を伴って改めて知る曲の魅力もあり、その点でも大いに楽しめました。
お目当ての「イノセント」に描かれた貴族の大邸宅でのサロンコンサートですが、演奏家が黙々とピアノを弾いて来客が静かに聴くという、意外に正式なコンサートでした。もう少し誰かがお話を挟んだり、来客が自由におしゃべりするような社交の場としてのコンサートを想像していたのですが・・。しかしながら、豪奢な貴族社会においても音楽が装飾やBGM的な存在ではなく、じっくり聴く対象になっていたことは嬉しくもありました。
最近私は、19世紀のサロン文化を意識したプログラムに取り組んでおり、この「イノセント」でも弾かれているリスト作曲「エステ荘の噴水」なども弾いているのですが、今回観た映画の印象を私なりに膨らませながら、これから演奏に向かいたいと思っています。