先日のNHK「プロフェッショナル‐仕事の流儀」のゲストは、カーデザイナーの奥山清行さんでした。GM、ポルシェと世界の名車のデザインを手がけてきた奥山さん、現在はイタリアの名門デザイン社に籍を置き、デザイン部門の最高責任者を務めています。各国から集まった強い個性とプライドを持つデザイナーたちを扱う、自称「猛獣使い」。衝突を恐れない厳しい仕事ぶりが印象的でした。
奥山さんは、1つのプロジェクトに必ず複数のデザイナーを競わせ、それぞれの案を真正面から批判し、デザイナーの闘争心に火をつけます。その豪腕な手法は、米国時代、デザイナーたちが和気藹々とした雰囲気の中では結果を出せず、結局全員解雇されてしまったという苦い経験に基づいているようです。「極論ですが、仕事は人よりもモノ」と言い切ります。
国際的な仕事の場で生き抜くために必要なものは?との質問には、「打たれ強さと体力」との答え。技や哲学などよりも、もっと根本的なことだったのが意外な気もしましたが、言われて見れば、W杯などを見ていても感じることですね。
その他、司会を務める脳科学者の茂木健一郎さんの、脳の中では人間が水や食べ物を口にして喜ぶ部位と、美しいデザインや音楽を聴いて反応する部位は全く同じなのだという話も、印象的でした。それに絡めて奥山さん、デザインという、一見人間が生きていく上で必要ないものだからこそ、絶対に手を抜いてはいけない。真剣に作らなければ絶対に伝わらないのだと語る眼差しは、まさに真剣そのものでした。