先日のNHK『プロフェッショナル-仕事の流儀』に、左官技師の挾土(はさど)秀平さんが登場されました。高校卒業後、左官業に就いて以来この道一筋の挾土さん。常に臆病であることを心がけ、焦りや慢心を冷静にコントロールしながら真摯に仕事に向き合う姿勢は、流石でした。
番組の中で特に印象深かったのは、熱海の大邸宅のメインの壁を依頼された時の話。難しい気候条件のため、土を塗った翌日、壁に色ムラが出来てしまい、再び一から塗り直します。ところが1ヶ月後、施主から、やり直すほどではないが、僅かにひび割れが出たとの連絡が入ります。
挾土さんは、職人達を集めて3度目のやり直しを持ちかけますが、時間的にも、これ以上施主に迷惑をかけるわけにはいかないとの意見が出ます。その時仲間を説得したのが、次の言葉。「時間がなくて60%のものを出すか、施主に怒られても100%のものを出すかどっちがいいか。後者の方が、恨まれても喜んでもらえるのは間違いない。」これこそ職人魂だと、胸が熱くなりました。
挾土さんは、プロフェッショナルとは、新しいことに挑戦して不安な気持ちで皆がピリピリしているムードのことだとおっしゃいます。一つの道を悩み苦しみながら歩んでこられた方の一言一言は、どれもズシリと心に響きました。