今はちょうど、ロマン派を代表する作曲家であるメンデルスゾーン、ショパン、シューマン、リストの小品に取り組んでいるのですが、この偉大な作曲家たちがほぼ同時期に生まれ、互いに友情を抱きつつ刺激し合っていた夢の時代に想いを馳せています。この4人の作曲家を一時に弾くのは初めてですので、今回練習する中で私が改めて感じた印象を書いてみたいと思います。
まずは、メンデルスゾーン。この人の作品からはバランス感覚の良さを感じます。ロマン的な表情を見せつつも決して表現が過剰にはならず、絶妙のところで美しさを創り上げている感じがするのです。人柄についてはよく知りませんが、きっと常識的な人だったのではと思います。次は1歳年下のショパン。上流階級の人々と接していた当時の作曲家たちの中で、もっともその優雅な雰囲気を作品に反映させた人のように思います。
ショパンと同い年のシューマンは、同じドイツ人のメンデルスゾーンと作風は似ているものの、その表現はもっと個人的なものであり、まさに“シューマンワールド”という言葉がピッタリくるように思います。さらに一歳年下のリストは、小品においてさえスケールの大きさが感じられます。晩年は深い信仰心から修道院に入ったリストですが、その想念の果てしない広がりを作品の中に感じます。
いずれにしても、素晴らしい個性を放つ4人の作曲家たち。あさってのコンサートでは、それぞれの作曲家の持ち味を十分表現し、お客様に楽しんでいただければと思っています。