11月3日に弾く予定のモーツァルトのピアノ協奏曲第20番ですが、この曲はモーツァルトのピアノ協奏曲の中でも傑作とされており、ベートーヴェンが好んで演奏したことでも知られています。協奏曲には、「カデンツァ」というソリストが一人だけで演奏を披露する部分がありますが、モーツァルト自身によるカデンツァは残っておらず、ベートーヴェンによるものが現在では最もよく演奏されています。
この曲を弾くことになった時、他にどんなカデンツァがあるのか母校の図書館から楽譜を取り寄せてみたところ、錚々たるメンバーによるカデンツァがありました!作曲家では、ブラームス、クララ・シューマン、フンメル、ブゾーニ・・・、ピアニストでは、ケンプ、ブレンデル、ハイドシェック、エドウィン・フィッシャー、クララ・ハスキルなど・・・。
一通り目を通して弾いてみたりもしましたが、やはりベートーヴェンのカデンツァがいいなと思い、1楽章も3楽章も結局それにしました。それにしても、1曲の中でモーツァルトとベートーヴェンが味わえるなんて、贅沢ですよね♪ しかもそのカデンツァからは、モーツァルトの傑作に相応しいものを!というベートーヴェンの強い意気込みが伝わってきます。まさに真剣勝負のカデンツァです!
また、この曲の2楽章は美しい安らぎの世界ですが、最初のテーマが終わると、ピアノで歌を披露するような部分が登場します。そこはとてもシンプルに書かれているのですが、ピアニストによっては、その歌に装飾を加えて、ちょっと遊び心を見せる場合があります。モーツァルトの時代には、演奏者が即興的に弾いていたことによるのでしょうね。ただ、人によっては、モーツァルトが書いた楽譜のままで、シンプルに弾くピアニストもいます。
私は最初、シンプルなまま、というのも、この慌ただしい時代において贅沢なのではと思い、装飾を加えずに弾いていたのですが、いろいろな録音で装飾バージョンを聴くと、そういう「遊び」が出来るのも他の作曲家にはない楽しさを感じ、装飾を加えて弾いてみたりしています。ただ、下手にすると、モーツァルトのままでいいのに!となりますので(笑)、このぐらいならOK?という中で、自分なりに少し遊んでいます。それでも、シンプルバージョンのいい演奏を聴くと、やっぱりシンプルもいいなあ~♪と・・・。もうこうなったら、2回弾きたい!(笑)
この曲は、モーツァルトが29歳の、ウィーンで大活躍していた頃に書かれた作品です。最近では車の運転中にも聴いていますが、凄い曲だな~、この曲が弾けるんだな~と、胸がいっぱいになります。これから本番まで、偉大なモーツァルト(+ベートーヴェン)に敬意をこめて、出来る限りの準備をしたいと思っています♪(もちろん、30日の王子ホールでのリサイタルも、がんばります!)
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