昨日は、横浜国立大学でのコンサートが無事に終わりました。お忙しい中、また、お暑い中をお越しいただきました皆様には、心より御礼申し上げます。
今回は、100年以上前のベヒシュタインが弾けるということで楽しみにしておりましたが、想像以上にいい状態で、さすがクラウドファンディングでしっかり修復されたピアノ!と感心しました。この度は、このような貴重なピアノを弾かせていただきまして、ご関係の皆様には深く感謝いたします。
よく、昔のベヒシュタインの構造は今と違うため、響きが全然違うと言われていますが、昨年CDを収録した魚沼のピアノ(50年ほど前のもの)を思い返しても、その特徴がなんとなく分かってきました。昔のピアノは、どの音域においても音の立ち上がりが良くて、一音一音がクリアーなのですね。今のピアノで同時に中低音のメロディーと和音を弾くと、かなり混じり合ってしまうため、メロディーを際立たせて弾く工夫が必要なのですが、昔のピアノは特に何もしなくても、簡単にメロディーが際立つように弾けてしまうのです。
また、どの音域の音も素晴らしいので、いかに余計なことをせずに、まっすぐに力を落として本来の音を響かすことが出来るか、というのが、このような楽器を弾くときの大事なことのような気がします。普段、自分がピアノを弾く時に、いかにタッチによって音色を作ろうとしているか、ということにも気付きました。やはり昔と今では、奏法がだいぶん違うものになるのでしょうね。昔の奏法に慣れると、思ったことがかなりラクに表現できるような気がしました。反応がいいからかしら。(もちろん、昔のピアノは音量が足りないので、倍音を上手に響かせて楽器を鳴らすなど工夫が必要でしょうね。あとは会場の音響面でもかなり変わりそう。)
ブログでは昨日の楽しく幸せな時間のご報告を・・・!と思っていたのに、気付けばこんなにマニアックな話で、ごめんなさい!(笑)ただ、昨日は弾きながら、いかにこの楽器本来の美しい音を皆様に届けられるか、どうすればパワーの足りない部分を補って響かせられるか、今のベヒシュタインや他のメーカーの響きも知っているので、そういうものもプラスして表せたらもっと表現の幅が広がるのではないか・・・などなど、弾きながらいろいろなことを考えていたもので・・・。
昨日は、原智恵子さんや園田高広さんなど、かつて世界的に活躍されていたピアニストと同じピアノが弾けて嬉しかったです。その事実を思うだけで、今もとても幸せな気持ちでおります♪
そしてそして、昨日は会場の皆様が温かく、私のこんな思いも汲み取っていただけて、ご一緒に音楽や響きを楽しんでくださっているような印象を受けました。多くの方に喜んでいただけて、CDも沢山購入していただけて嬉しかったです。またどこかで、皆様にお目にかかれますように!そして、またあのピアノを弾かせていただける日が来ますように・・・!!