昨日までの3日間、魚沼の小出郷文化会館で収録をしてきました。終わってみての感想は、「キツかったけど、楽しかった~!」というものです。
今回は曲目がドビュッシーなので、ショパンの時より体力的にはラクかなと思っていましたが、ドビュッシーの音楽は非常に繊細で、常に響きを聴いて音色を作り出し、イメージも膨らませて、細かい音の粒もそろえて・・・と、する事は尽きず、頭も耳も心もフル回転。おまけに「金色の魚」や「グラナダの夕べ」、「喜びの島」などは途中でかなり熱くなる場面もあり、16曲の収録は、なかなかハードなものでした。
初日はピアノもまだ鳴りきらないので、2日目と3日目をメインに収録するのが一般的、と聞いていましたが、録音の「どうぞ」の合図があると、自然にスイッチが入って、全力で弾いてしまうものですね。最初の新鮮な気持ちがいい演奏に繋がることもあると思うので、やはり気は抜けません。おかげで、2日目は朝起きたら疲れを感じて、いきなり栄養ドリンクのお世話に。こんなことは、日頃めったにありません・・・。
2日目は、まず前日の録音を一通り聴いて、改善点をメモし、ピアノの前へ。鳴り方はぐっと良くなって、ベヒシュタインの美しい響きにうっとり。この日は、映像の撮影も予定していて、なんと会場周辺をドローンで撮っていただきました。ホール内でもドローンを飛ばして、演奏中に撮影。ドローンって、結構音や風が出るものですね!映像はまだ見ていませんが、なかなかいい感じなのだとか。これは、クラファンにご支援くださった皆様への特典動画として、準備する予定です。他にも、私へのインタビューや、調律師さん、レコーディングエンジニアの方との対談も、少し撮っていただきました。
その撮影が終わって、少し休んだら次は音楽に専念しよう、と思って、楽屋の畳に座布団を並べて横になった瞬間、意識がなくなり・・・(笑)。どうやら爆睡してしまったみたいです。他の皆さんは、何度部屋をノックしても反応がないので、私が倒れているのでは?と真面目に心配されたようで・・。最後にもう一度だけ!と強めにノックしてくださって、ようやく私は目が覚めて、しばらくポカンと「一体ここはどこ??」となりました。楽屋でこんなに寝てしまったのは、今までで初めてです(汗)。
2日目までは雨続きでしたが、最終日は快晴となり、不思議と体は元気に。やっぱり前の日の爆睡が効いたのかなあ(笑)。まずは前日の録音を聴いて、改善点を書き出し、納得のいく演奏が出来たら次へ・・という形で最後まで進んでいきました。調律の加藤さん、エンジニアの北見さんとアシスタントの方も、最後まで、いいものを残そうという気持ちで頑張ってくださって、そんな思いが伝わってくるので、私も最後の最後まで集中を保って弾き続けることが出来ました。この場をお借りして、心より御礼申し上げます。
これから膨大な量の録音の中から、テイク選びが始まります。これはこれで、大変な作業ですが、いい作品の完成を目指して、引き続き頑張りたいと思っています!
〇写真の説明(左から順に)
1.レコーディングのセッティングはこんな感じでした。
2.調律の加藤さん。最後の最後まで、少しでもいい音を・・と休憩の度に頑張ってくださいました。
3.今回は、フランスのピアニスト達がするらしい、踵を浮かせたペダル奏法にトライしました。ヒールのある靴はやりにくく、いろいろ試した結果、一番右の、100円で買った宿のスリッパが弾きやすく・・・。今回の収録は、これで行いました♪
4.今回の収録にご協力くださった皆様。左から、レコーディングアシスタントの澤畑さん、調律の加藤正人さん、レコーディングエンジニアの北見弦一さん、映像制作の高瀬さん、オーディオ評論家の潮晴男さん。照明が当たり過ぎたせいか、私のほっぺたがテッカテカに(泣)。
5.3日目はようやく晴れました。宿からの眺め。山が近くて嬉しかった♪
6.見渡す限りの田んぼ。(車の中から撮影。)魚沼は豊かな土地だな~とつくづく思います。
7.8.収録を終えて、ホールの方々と晩ご飯。昨年秋のリサイタルの時は、演奏前日でお酒が飲めなかったので、今回はそのリベンジ。天恵菇(てんけいこ)というシイタケのお刺身が絶品でした。利き酒セットでお話も弾み、最終の新幹線で東京に戻りました。