皆様、お久しぶりです!7月も、もう中旬だというのに、この夏は涼しいですね。有難い限りですが、我が家は暑さに備えて早々に夏用ベッドパットを買い、準備万端だというのに、何だか拍子抜けです。そして、もうすぐ夏休み。一日中、子ども達と一緒の長い長い日々が始まるので、今は一人の貴重な時間を味わい、噛みしめながら過ごしているところです(笑)。
ピアノの方はと言うと、春まではCD制作などで主にショパンに取り組んでまいりましたが、来年の2020年は、ベートーヴェン生誕250年ということで、リサイタルでは三大ピアノソナタ「悲愴」、「月光」、「熱情」を演奏する予定です!
ショパンは、独自の美の世界を追求した素晴らしい作曲家でしたが、ベートーヴェンも、またスケールの大きな凄い作曲家ですね!これまで、学生時代からベートーヴェンは度々弾いてきたので、それなりに調べてはきましたが、今回、世界遺産とも言える三大ソナタに取り組むにあたり、もう一度、まっさらな気持ちでベートーヴェンに向き合い、伝記や手紙、日記などを読んでいるところです。ベートーヴェンは、その素晴らしい音楽の一方で、奇人変人的なエピソードも多く、本当のところはどんな人だったのかな、という興味が改めて湧いてきています。
そうして見てみると、やはり印象的なのは、とても気高い精神の持ち主だったということです。「徳のみが幸福をもたらすことが出来る」、「私たちにとって最善のことは、苦悩を通じて歓喜をかちうること」など、手紙には人生観の表れた言葉が度々登場し、生涯を通じて精神世界を探求していたことがうかがえます。
その一方で、怒りっぽく、人とのトラブルが多かったのは、生来の気性の激しさもあったでしょうが、幼少期に父親からスパルタ式に鍛えられたことも大きかったのでは、と感じます。私は、自分が育児をするようになって、様々な本を読んだりしたことから、作曲家の幼少期について、とても興味を持つようになりました。ベートーヴェンの父親は、今ではきっと、虐待、と言われるやり方で、息子をモーツァルトのような音楽家にしようと必死だったのですね。その父親の暴力的な面が、どうしても子どもの性格に影響を与えてしまったのかなと思います。
また、ベートーヴェンには、とても温かく優しい面があり、それは16歳の時に亡くなった母親の影響かなと感じます。ベートーヴェン自身、母親のことを「善良そのもの」で、「最上の友」だったと書き残していますが、きっと心の美しい人だったのだろうと想像しています。
その他、改めて驚くのは、ベートーヴェンにまつわる女性の多さです(笑)。ショパンの時は主に3人ぐらいで覚えやすかったのに、ベートーヴェンの場合は、えーと、この人は誰だったっけ?と、結構こんがらがります。きっと気が多い人だったのだと思いますが、貴族の女性達の方も、身分の違いでタブーとされていた時代に、よく恋愛まで発展していて、ベートーヴェンがかなり魅力的であったことが分かります。また、変人と言われたり、喧嘩っ早かったりするのに、友人が多いのも印象的です。喧嘩の後の謝りの手紙などを読むと、こんな風に素直に謝られたら、もうきっと許しちゃうだろうな、と思うような内容です。そういった、人の心を動かす文才があり、真面目な内容のものも、かなり読みごたえがあるため、音楽だけでなく文章で表現するのも上手な人だったのだな、と感じます。
このように、ベートーヴェンという人について、あれこれ想像し、音楽との関連性を考えたりするのは、至福の愉しみです♪ ベートーヴェンは、「音楽家であり思想家」と書いているものがありましたが、納得の言葉です。今後も、私なりに出来る限りベートーヴェン自身や、その思想を理解し、来年のリサイタルでは、私自身も何らかの思想を持って演奏に臨めるといいな、と思っているこの頃です。