今、国立西洋美術館で開催されているムンク展に行って来ました。ムンクといえば、恥ずかしながら「叫び」ぐらいしか知らなかったのですが、ここでは初期から晩年までの作品が多数展示されており、とても見応えのある展覧会でした。
作品を観るうちに、まず気になったのが、全体に流れる暗いトーンです。それぞれの作品からは、不安や孤独、悲しみ、嫉妬などという負の感情がダイレクトに伝わってくるのに加えて、モチーフやテーマに考えさせられるものが多く、一つ一つの絵の前にいる時間が自然と長くなりました。やはり、それだけ絵に惹きつける力があるということなのでしょうね。
これだけ暗い気分をうまく表すことの出来るムンクは、一体どんな生涯を送ったのだろうと調べてみたら、やはり幼い頃に母や姉、弟を亡くしていたり、自身も病弱であったり、異性関係のトラブルも多かったりと、困難な人生を送っていたようです。小さい頃から絵を描くことによって不安定な心を落ち着けていたというムンク。それぞれ作品には、その時々の心の悩みや痛みが映し出されているのでしょう。
私が興味を惹かれたのは、色彩についてです。これだけ不安な気分が表れているにも関わらず、鮮やかで明るい色が多く使われていたのですが、これはムンクが北欧出身であることに関係しているのかも知れません。ムンクの故郷ノルウェーは、作曲家グリーグを生んだ国でもありますし、いつかゆっくり旅をして、その空気や自然に触れ、街並みを見てみたい!などと思ってしまいました。