皆様、大変ご無沙汰しております。先日の台風19号は、各地に怖ろしい被害をもたらしましたが、皆様の地域は大丈夫でしたでしょうか?うちの近所は無事でしたが、東京や神奈川の馴染みのある場所にも大きな被害が及んでいて、とても他人事とは思えません。最近の自然災害を見ると、私達人間の暮らしのあり方を考えずにはいられませんね。
さて、話は変わっていきなりですが、先週、6日間ほど、1人でウィーンに行ってまいりました!そのきっかけは、やはり、ベートーヴェンです。彼についての本をいろいろ読んでいるうちに、「ベートーヴェンの遺髪」という大変面白い本に出会いました。その内容は、ベートーヴェンが亡くなった時(1827年)に、ある人が切り取った遺髪が数奇な運命をたどり、最終的には、競売によりアメリカ在住のベートーヴェン愛好家と医師の2人のものとなる(1994年)。その2年後、遺髪は法医学的に検査されることとなり、それによってベートーヴェンの難聴の原因をはじめ、晩年の健康状態、彼の生活や作曲に対する姿勢などが、より明らかになった、というものです。
遺髪は、そのベートーヴェン愛好家が設立した、カリフォルニアのサンノゼにあるベートーヴェン研究センターに展示されており、そこにはベートーヴェンの自筆譜や手紙など、貴重な資料もあるとのことで、私は夏休みの間、そんな話を興奮気味に夫や子ども達に話していました。「そこへ行って、ベートーヴェンの髪の毛とか、いろいろな物を実際に見てみたいなあ!!」と私が言うと、夫が、「行って来たら?もしお義母さんに来てもらって、子ども達を見てもらえるなら」と言ってくれたので、すぐに母に電話。すると、「子ども達は見ていてあげるよ」との返事で、なんとまあ思いがけないこと!夢のような、信じられない話でした。
早速、今まで行ったことのないアメリカの、サンノゼという街について調べてみたのですが、その研究センターの情報が思いの外はっきりせず、その後の旅の予定も立てにくいので、もう一度振り出しに戻り、ネットで「ベートーヴェン、博物館」を検索。そうしたら、ウィーンにある記念館がいくつか出てくるではないですか!そうか、ベートーヴェンは20歳過ぎから57歳で亡くなるまでウィーンに住んで活躍していたんだ、と気付き、やっぱりウィーンに行ってくる!!となったわけです。
そうと決めたはいいものの、やはり心配なのは子ども達です。大きくなったと言っても、小3の息子と小2の娘。今まで1晩たりとも私だけ留守にすることはなかったのに、本当に大丈夫かしら、やっぱり行くのはもう少し後にしようかな・・・と、悩みました。ですが、来年のベートーヴェン生誕250周年の記念リサイタルを前に、私自身の関心が高まっている今こそ、出来る限りのことを吸収したい、このチャンスを生かして精一杯勉強して来よう!と心に決めました。旅のことを息子に話すと、「遊びじゃなくて勉強なんでしょ、じゃあ行っておいでよ」とすんなり納得してくれて、お兄さんになったなあ、と感動。娘は最後まで「寂しい、本当に行っちゃうの?」と、ごねていましたが(笑)、最後の最後には、「分かった、その代わり、来年のリサイタルではきれいに弾いてね」と言って送り出してくれました。
思い起こせば、ヨーロッパ一人旅なんて、いつ以来でしょう!もう、はるか遡って留学から帰国後、ベルギーに何度か演奏旅行した時以来ですから、15年近くにはなるかしら・・・。しかも、これまでは行く先に演奏会やコンクール、講習会などの目的があり、ピアノの練習が頭から離れない状態でしたが、今回は、純粋に勉強(研究?)のため。なんてプレッシャーもなく、幸せな旅なのでしょう(笑)!
ウィーンに行くのは大学3年の時以来なのですが、改めて調べてみると、さすがは「音楽の都」ですね。ベートーヴェンのみならず、モーツァルト、ハイドン、シューベルト、ブラームス、ヨハン・シュトラウス、マーラー・・・と、錚々たる作曲家が住んでいた所で、そんな街の空気に触れられるなんて、感激! この際、いろいろな作曲家のゆかりの地も訪ねてこようと、旅立ちの前には、それぞれの作曲家の伝記もじっくりと読み直しました。
留守中、もし子ども達の学校で何かあったら・・・と、何人かのママ友にもわけを話し、「大丈夫、子ども達のことは任せて、安心して行って来て!」との有難いお言葉を拝受。いよいよ旅立ちの日を迎えることとなりました。続きは、次に書きますね♪